キミガシネ第二章前編Part2です。
第二章前編Part1はこちら↓
新たなフロア
幻影
勢いよく飛び起きたサラは、苦しそうに肩で息をしました。
やはりというべきか、あの末恐ろしいジョーは夢だったのです。
あれは脳裏に焼き付きますよねぇ……。私なら目覚めることなくそのまま召されそう。
さて、落ち着きを取り戻したサラは周囲へと目を向けました。
どうやらここはホテルの一室のような場所で、明るい照明が部屋を照らしています。
ベッドから降り、真っ暗な窓へと歩み寄るとそれは鏡のように全身を映し出しました。
そこにあるのはひどく憔悴しきった自身の顔。
見ているだけでますます気が滅入りそうなほどにやつれてしまっています。
たまらずサラが窓から目を逸らすと……
ふと、どこからともなく聞こえてくるサラの名前を呼ぶ声。
それは間違えようもないほどに聞き親しんだ声で──
「いつまで逃げる……?」
突如として壁掛けの照明が切れ、赤く滲んでいくベッド。
窓には薄っすらと何かが浮かび上がる。
「オレと一緒に死んでくれよ、サラ」
床も赤く浸食されていき、その色を吸いあげたかのように染まるスタンドライト。
その横にある椅子のうえに転がるミシマの生首。
窓の何かは見覚えのある人影として、少しずつその存在を強めていく。
ついには壁までもが赤い涙を流しだす。
左の椅子には腰を掛けるカイの姿。
窓の人影は、もはやそれが誰かハッキリとわかるほどまでになっていた──。
じわりじわりと追い詰められていく恐怖に精神をどんどん擦り減らされていくなかで、サラは必死に声を荒げ抵抗します。
「お前は……ジョーなんかじゃない!!」
「冷てーなあ。オレ達、親友だろ?」
「黙れ……!!」
【選択肢】
→窓をたたき割る
→部屋から逃げだす
この恐ろしい部屋に留まっていること自体が怖いので、ひとまず部屋から逃げ出してみます。
すると……
「そっちは行かないほうがいいぞー」
その声が聞こえるとともにサラの身体に鋭い痛みが走ります。
なんと全身が血まみれになっていました。
い、一体どういう理論なんだ……。逃げただけなのに(おそらく窓をたたき割るのが正規コース)。
攻撃でもされたのだろうと解釈しておきます。
助けを呼んでみるも、それに応えるのはジョーただひとり。
「楽にしてやるよ」
そう言ってサラの首元に手を伸ばし、
殺しにかかるジョー。
サラはもがき苦しみます。
やめるように懇願したところで、当然ながら聞き入れてなどもらえません。
為す術もなく、ただひたすらに苦しむなかで自身の名前が何度も頭にこだまするばかりでした。
それはサラを呼んでいたから。
ジョーが。
誰かが。
声が一際強くなったところでサラは目を見開きます。
目の前にいたのは……ジョーではなく、ケイジでした。
そう、苦しむサラに呼びかけていたのはケイジだったのです。
登場早々イケメンすぎてつらい……。あなたがメシアか。略してイケメシア(流行らない)。
珍しく1人称がオレなところも熱いですね。しかもサラが返事をすると、いつもの気だるげスマイルで「……そうだ、おまわりさんだよ」って返してくれるんです。
燃えたぎるくない? 外が暑いのってもはやケイジさんのせいなのでは(現在8月初旬)。もう私は炭になりたい。
そんな想いはひとまず胸に秘めておき。
改めて部屋を見渡してみると、赤く染まったはずの部屋はきれいなまま保たれていました。
しかし痛みは本物。どうやらひとりで勝手に暴れてケガをしてしまっていたようです。
ケイジはその派手な物音を聞いて駆けつけてくれたらしく、サラのケガを看ながら事の次第を尋ねます。
【選択肢】
→なんでもありません
→ジョーの影を見た
正直にジョーの影を見たと伝えると、ケイジは驚くでも疑うでもなく冷静に受け止め、ひとまず大きなケガに至らなかったことに安堵します。
ベッドに座るよう促されたサラは、今度は逆にケイジへと今の置かれている状況について尋ねます。
ケイジいわく、ここは既に3階なのだそう。
1人1室ずつの個室が用意されており、そこで休息をとるよう指示されているようです。
【選択肢】
→ありがとうございます
→どれくらい寝てましたか?
→早く探索に戻りましょう
ここはお礼を言います。そういう素直さが好感度を上げるポイント(セルフ乙ゲー)。
……今のところキミガシネの選択肢ってほとんど意味ないですけどね。あんまりやり込み要素を盛られても攻略が大変なので助かっていますがw
お礼の言葉にケイジは謙遜すると、もう少し睡眠をとるよう促します。
迷惑をかける、と遠慮するサラでしたが、結局はケイジに説き伏せられてしまいます。
しかしサラにはどうしても寝たくない理由がありました。
【選択肢】
→一緒に居てください
→今は動きたいんです
おっとこれは……(上の選択肢を即ポチー)
確か私デスゲームをしにきたはずなんですけど、もしかして知らないうちにホラーゲームをしていたのかと思いきや、気付いたときには乙女ゲームをしていた……?
いやでもキミガシネの乙ゲー出ないかなって期待していたんで、まぁ悪くないですよ(内心ガッツポーズしながら)。
寝ます!
……と返事をしたいところですが、サラちゃんはそんな不純な人間じゃありません。それどころでもないですしね。
サラはケイジの言葉を拒否します。
どうしても横になりたくない理由……それは、またアレを見てしまうのが怖いから。
ジョーであってジョーでないジョーの姿形をしたアレを。
頑なに睡眠を拒否するサラに打つ手が無くなったケイジは少し考え込みます。
それから一息つくと、肩を貸すからもう少しだけ休もう、と妥協案を提示します。まじイケメシア(流行らない)。
ケイジの譲歩により、ここでようやくサラは折れました。
肩に寄りかかるサラにケイジが呼びかけます。
しかし返事は無く、どうやらぐっすりと眠りにつけているようです。
ケイジは珍しく顔に冷や汗を浮かべ神経を衰弱させた様子で、サラも陥った現象に困窮していました。
そして意識のないサラにやんわりと忠告します。
「……幻影を……認識しちゃ……ダメだよ。脳に焼き付いたら……もう……」
なんとケイジもあの幻影を見ていました。
ただ、サラほどジョーに思い入れがあるわけではないので、見ているのはジョーでは無さそう。
となると、あの腕はケイジさんに関係する人物でしょうか。前腕筋のたくましさから見ると男性っぽい。
ロシアンルーレットで「人を撃った」と言っていたのでその人かもしれません。幻影を見るということは、まぁつまり……死なせちゃったんでしょうね。
それはそうとジョーが恐ろしすぎたせいで1発で脳に焼き付いてしまったのですが、この場合どうしたらいいでしょう。助けて、おまわりさん。
再び目を覚ましたサラは、ケイジの提案を受けみんながいるであろうロビーへと共に向かいます。
ここから久しぶりに行動ができるようになりますが、依然と違うところがひとつ。
画面の右下に、
赤いジョーのシルエットが出現しました。これは幻影濃度を指しています。
幻影濃度とは……
サラの精神状態に関する数値です。ジョーの事を思い出す度に、数値は増えていくでしょう。増え過ぎない様、お気を付けください。
とのことです。
つまりジョーを思い出すとヤバい(語彙力)。
現時点で幻影濃度は20ありました。悪夢と、悪夢から覚めたあとに見たジョーの影響でしょう。
鎮魂歌
ロビー
ロビーに入ると、誰かの歌声が部屋に響いていました。
声の主は、レコ。
【選択肢】
→きれいな歌声だ
→なんだか悲しい歌……
当然ですが歌声は流れないので実際のところよく分かりません。ただ、急にもの悲しさ漂うBGMが流れ出したので下を選んでみました。
すると突然現れたアリスから、レコなりの鎮魂歌だと説明を受けます。歌の邪魔をするんじゃないぞ、との警告付きで。
そんなアリスは自分の妹の歌を壁際でコソコソ聴いているようで、それをケイジに突っ込まれます。
痛いところをつかれたのか、オネエ口調で「もう赤の他人よ!!」とキレ気味に反論するアリス。
レコは死者を悼んで純粋な気持ちで歌っているため自分の姿で余計な雑念を与えたくない、という妹想いの兄ゆえからくる考えでした。
カマいけどやっぱり良い兄ちゃんやん……。どう見ても私利私欲で殺人をするような人間には見えないんですよねぇ。
この辺の謎はわりとケイジさん関連の謎より気になっていたりします。
ふと、アリスはレコについてどう思うかと尋ねてきました。
【選択肢】
→優しい人ですね
→おっかない人ですね
→アネゴ肌ですね
→兄が残念ですね
や、やさ、優し……クッ……ダメだ! 手が一番下を選びたがって言うことを聞かねぇ!!
シリアスな空気なうえ切ないBGMも流れているというのにネタに走ることへの罪悪感が無いと言ったら嘘になる。
しかしこれは避けられない。残念な兄が悪い。
おこられた。反省はしていない。
ケイジ視点でのレコは、兄と比較して余計にたくましく見えるようです。ちょっと怖いけど……と付け足しつつ。
ケイジさんってレコのことをちょっと怖いと思ってたんですね。全然そんなふうに感じなかったので意外でした。見た目も慣れれば怖くないですし。
でも考えてもみればレコって弱者の味方ですもんね。確かケイジさんみたいな成人男性には厳しかったはず(ソウのような虚弱体質だと多少甘く見てもらえる模様)。
それで印象に少しズレがあるのかもしれません。
しかし今はそんなレコも昔は違ったようです。
【選択肢】
→強い人にも優しかった?
→弱い人にも厳しかった?
レコさん普通に厳しそう、と思ったらまさにその通りでした。
アリスによると、レコは生まれた時から音楽や人を魅せる才能や活力に満ち溢れた人間でした。
自分自身に厳しいのはもちろん、なにより弱いくせに行動しない人間に厳しくありました。
それに比べると今は驚くほど変わったようです。
「あんたの殺人事件がキッカケで……?」
そう問いかけるケイジの推察は図星を突いていました。
アリスは笑みを浮かべ、それを肯定するだけすると話を切り上げてしまいます。
レコが優しくなったのは良いことですが、そのキッカケが殺人事件というのは……やるせないですね。
とりあえずこの2人に関しては、アリスの殺人事件の真相を知らないことには何とも言えません。歯がゆい。
実は殺人を犯したのはレコで記憶喪失により性格改変し、アリスが身代わりで捕まっていたとか……?
真相を知りたすぎるあまり、「ごはんですよ!」を乗せた白米のごとく妄想がモリモリ進むんですよ!
一旦この話は置いといて。
アリスが話を切り上げたと同時に、サラの存在に気が付いたレコ、ナオ、ギン。
3人はこぞって駆け寄って来るやいなや順番に声をかけてきます。
お互いが心身ともに疲れ切ってるはずなのに、心配し、駆け寄り、言葉をかけてくれる。サラにはその優しさがなによりも心地良いものでした。
その様子を驚いた表情で眺めるアリス。
視線に気付いたレコが「なに見てんだよ」と凄むと、アリスは慌てて謝り視線を逸らしました。
レコはサラに向き直ると、アリスに向けたものとは打って変わって優しい表情を見せ、今置かれている状況の把握を手伝ってくれます。
【選択肢】
→寝てる間に何かありましたか?
→みんな何をしてるんですか?
とりあえず寝ている間のことを聞いてみます。
しかし3階に連れて来られてからはまだ何も起きておらず、みんなも放心状態で言われるがまま休むことしかできなかったようです。
どうやらその間にホエミーが姿を消しました。
やったぜ! ……と素直に喜んでもいい事案なのやらわかりません。下手したらもっと最悪な展開が待ち受けている可能性も……。
【選択肢】
→探しに行こう
→倒しに行こう
→まずは周辺を探索しよう
倒せるものなら倒したいんですけどねぇ。そんなに簡単に倒せるならとっくに討伐しているはず。
探して見つけたところでろくなことにはならないでしょうし、無難に周辺の探索ですかね。
一にも二にもまずはここが安全かどうか確認しよう、とサラは意欲を示しました。
ケイジとしては無理をさせたくないものの、すっかり真剣モードとなってしまったサラを前に根負け。
職業柄ゆえか、じっとするのも性じゃないと言いサラに同行してくれることになります。
頼もしい……ケイジさんがいるという頼もしさハンパない……。
サラ、ケイジ、レコ、ナオ、ギンの5人そろって探索開始です。
久しぶりの探索じゃああああ
第二章前編Part2はここまで
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