キミガシネ第二章後編Part3(Aルート)です。
第二章後編Part2(Aルート)はこちら↓
交換フェイズ
役職判明
自分の寝室
寝室に公衆電話。なにこのシュールな部屋。
サラは部屋の静かさに一息つきます。
自室に戻れば、自分一人きり。
ふと、手が震えていることに気付きました。
あの場では、みんなを不安にさせまいと奮い立っていましたが、それが一人だとこんなにも臆病であることを思い知らされます。
弱気になるな、とサラが心の中で自分を叱咤した──そのとき。
警報のような音が部屋に響き渡りました。
まさかあの公衆電話から?! と思いきや、犯人はタブレット。
おそらくは開始の合図だったのでしょう。
サラはおそるおそるタブレットを掲げます。
ゆっくりと発光し立ち上がったタブレットからは、自動で音声が流れ始めました。
「これよりメインゲーム、交換フェイズを開始します。あなたの役職カードへアクセスします」
運命の一瞬。
心臓の音がうるさいくらいに体内を暴れまわります。
サラは無意識に願っていました。
──やめて……
表示されたのは、平民カード。
プレイヤーからすると、まぁそうでしょうな、という引き。
鍵番は前回やっていますし、身代がいきなり来るわけないですし、だいたい賢者か平民の二択。
それでもって交換システムを考慮すると、サラはソウチームに身代を押し付けられる展開が予想できるので、わざわざ無意味に賢者を持ってくる必要もない=平民。
すぐメタ的見解をするのが僕の悪い癖(右京さん風)。
当然、サラ視点ではどれが来てもおかしくないわけですから、緊張感も凄まじかったことでしょう。
「平民」の文字に安堵したサラは、気付けば床に腰を落としていました。
放心状態とはまさにこのこと。
よかった──そう言いかけたところで、寝室のドアがノックされます。
「サラちゃん」
おっと、この呼び方は! ナ……
【選択肢】
→ケイジさんですか?
→ナオさんですか?
→…………
ハッ、選択肢を見て気が付いた。ケイジさんの可能性もあるということを……。
なんでだろう、「サラちゃん」って見て真っ先にナオを思い浮かべたうえ、まったく疑いもしなかった。
鑑賞室でじっくり話し合ったのが焼き付いちゃったかな?
なんにせよ、自分の勘を信じて……!
「ナオさんですか?」
サラが探るように尋ねると……
「そんなかわいい声に聞こえるかい? おまわりさんだよー」
私の勘、大したことなかった!!!
というか、直接声を聞いているサラ目線で見ると、いったい何をどうやったら聞き間違えるんだっていうw
──扉を開けて中に招き入れるべきか……?
【選択肢】
→扉を開けて招き入れる
→開けずに会話する
→無言で無視する
→合言葉を言わせる
サラは何をそんなに警戒しているんでしょうか。
孤島の館に集まったメンバーの中に殺人鬼が混じっていた的なミステリー展開でもあるまいし。
ささっと招き入れましょう(迷いなく)。
部屋に入ったケイジはお礼を述べると、単刀直入に切り出しました。
「サラちゃん、キミは……」
?!
「……んえ?」
さすがのサラからも間抜けな声が漏れ出ました。
すると、真剣な顔つきだったケイジの表情が緩みます。
カマられたー!!!
気付いたときには時既に遅し。
サラが身代でないと知り、ケイジは安堵の様子を見せました。本当に身代だったなら結構悩んだ、と今でこそ言える軽口も叩きます。
「ま、まだ、決まったわけじゃ、ありませんよ!」
サラちゃん動揺しすぎて笑う。
ケイジは、これだけ白々しくても白状はしないサラを賢いと表する一方で、ウソを吐くのはまだヘタだとからかいます。
返す言葉もございません。
話が一区切りつくと、ケイジは一息つき、
Ω ΩΩ< ナ、ナナナナナンダッテー!!
これは嬉しい知らせ!
確証は無いにしても、鍵番宣言をするということは身代から一番離れた行動ですからね!
ソウのときみたいに全員の前で騙ってヘイトを集めるならまだしも、マンツーマンでのカミングアウトは信用性が増します。
私はわりと信用していますが、ケイジ自身が信用性の低さを気にしているようで、おもむろに寝室の奥へと上がり込むと……
スルリとボックスに入りました。
an・anの表紙でも撮っているのかな? (ポーズ的に)
ケイジは「証明」だと言って、電話にメダルをガシャガシャと投入していきます。
ま、まさかサラに自分の鍵番を?!
ケイジはすでにサラが身代でないと判断していますし、鍵番と平民または鍵番と賢者のトレードになるだけだと確信しているのですね。
サラの間抜けな反応だけでそこまで信用してくれるなんて……嬉し泣きしちゃうぜよ……。
でも証明自体はやめて! 本当にやめて!
ケイジだからこそ鍵番を持っていて欲しいし、命を守るヨロイを纏っていて欲しいんです。
ソウという危険人物に目をつけられているサラに鍵番を与えるのは本当にリスキー。ますます身代を押し付けられる未来を感じる……。
……と、私の危惧なんてそっちのけでケイジは受話器を上げてしまいます。
途端に響き渡る警報のような音。
タブレットを確認すると……
OMG...
「ただいま、1度目の交換が行われました」
やっぱりなのかー!
交換仕返してやりたいところですが、あいにく手持ちが20枚しか無くてな!!!
あ、今ここでケイジと30枚を交換すればワンチャン……。
察しがついていただろうに、しれっとしています。
ケイジは自分が鍵番だったことを証明できて満足そうですが、サラはそうもいきません。
貴重な交換機会をなぜこんな時に使ってしまうのか、と激しい剣幕でケイジを叱責しました。
サラの反応は予想外だったのか、首を傾げるケイジ。
「怒ってません!!」と否定するサラですが、ビックリマークの主張がすべてを物語っています。
少しばかり考え込んだのち、ケイジはぽつりとつぶやきました。
信用か……。
信用にまつわる話は、サブゲーム2日目の夜の交渉でじっくり話し合ったものです。
信用はどうやって得るものなのか。
自分を信用できない。
本当は自分なんか信用しない方がいいのかもしれない。
そう言っていたケイジが、サラに信用されたいがためにリスクを冒しました。
ケイジにはケイジの揺るぎない信念があってのことなのでしょう。
加えて、制限時間も3時間しかなく役職なんかで疑いあってるヒマはないというのも、理由の1つです。
こうまで言われれば、さすがにサラも折れざるを得ません。
ケイジのことだから何か考えあってのことだろうと踏んだサラは、話を聞かせてもらうことにしました。
脱出の情報
ソファに身を沈めるケイジ。
おもむろに、「脱出」というとどんな方法があるかと聞いてきました。
【選択肢】
→出口をこっそり探す
→敵を倒して帰る
→デスゲームをぶっ壊す
敵を倒すのもデスゲームをぶっ壊すのも、それはもはや正当なクリアではなかろうか。
間違ってはいないとはいえ……個人的には、脱出=泥棒のようにコソコソと、というイメージです。
ズバリ、出口をこっそり探すこと。
ケイジも、フロアマスターの監視の目を盗むしかないかも、と同調しました。
やはり大事なのは情報。
ここはどこなのか? どんな建物なのか?
せめてフロアマップが分かれば、可能性はあります。
え、そんな人いましたっけ?!
【選択肢】
→ソウさん
→ミシマ先生
→カイさん
→ケイジさん
なるほど、カイさんか。
パソコンを1Fから移動させた可能性がありますしね。
ただ、本人は残念ながら亡くなってしまったので、そうなると行き着く先は……カイのパソコンでしょうか。フロアマップのデータが入っているかもしれません。
推測通り、ケイジの狙いはそこにありました。あのパソコンにはまだ確認していない情報があります。
一度はQタロウが手に入れたものの、充電が切れ……今は再びソウの手に渡ってしまっているカイのパソコン。
取り返すのは非常にめんd……難しいです。
そこでケイジが注目したのが、置いてあった場所。
パッと浮かんだのが、
隠し部屋でしたが、そこはもう行けませんでしたね。
3Fで見つけた場所というと……
ガレキの部屋です。
あまり大きな声では言えないのか、ケイジはサラを呼び寄せると耳元でささやきました。
それだけ伝えると、時間は少ないから行こう、と先に部屋を出て行ってしまいます。
取り残されたサラは、ただただ混乱するばかりでした。
1つ言いたい。
2人しかいない部屋でわざわざ耳打ちだなんて、一体どんな衝撃的発言かと思えば……
結構な肩透かし……!
ものの見事にズコーッですよ。
↑こちらの記事で書いているんですが、
カイのメールを見たときに、すでにケイジはカイがガレキの部屋に置きに来た説を提示しています。
誘拐犯あたりが回収して置いた説しか考えていなかった私にとっては、意表を突かれる発想で考えさせられました。
結果、カイなら建物の構造を知っていてもおかしくないため、その線もあるだろうと至ったのです。
その考えが頭にあれば、いまさらカイがガレキの部屋に来ていたと言われたところで驚きなんてありません。
しかしサラはというと真反対で、寝耳に水のような反応!
むしろ戸惑うサラに戸惑ったというか……主人公とプレイヤーの乖離がひどい。
サラと同じようにここで盛大に驚きたかったので、あのときのケイジさんのフライング推理(推理というより説を言っただけですが)は、正直、余計だったかなという思いが拭えません……。
改めて考えてみると、1Fでの探索時、調理室を気にするカイの姿がチラホラ見受けられました。
当時は、やけに調理室に執着しているな〜そんなことより探索して、なんて思っていたものですがw
今にしてみれば、それは隠し通路を知っていたからだとするとしっくりきますね。
やはりカイが置いた説が有力かもしれません。
ロビー
ロビーに来ると、ナオがひとりで突っ立っていました。
どこか思い詰めた表情をしています。
心配になったサラが声をかけるも、言いあぐねているのか黙ったままのナオ。
少しの沈黙の間を置いたのち、
空元気を取り繕っているかのよう。
さすがはケイジさんと言うべきか、そうした機微に聡く、すでにナオへ違和感を抱いています。
当のナオは、そんな視線に気付くこともなく。至っていつもどおりに振る舞います。
ナオも脱出について考えようと思い至ったようで、何か見つけたらサラにすぐ伝える、と笑顔を浮かべました。
話を終えた2人は、ナオから少し距離を置きます。
会話が聞かれない程度まで離れると、真っ先にケイジがつぶやきました。
「……妙だな」
ちから? なんのことやら? と、首を傾げていると……
アイコンをタッチすると相棒能力が使えます。
相棒……刑事(元)……ケイジさんがメガネをかけてオールバックにして人差し指を突き立てながら紅茶を愛飲してしまいそう。
刑事の目が役に立つだろうとのことで、貸してくれたこの力。
物は試しと早速タッチすると……
異界かな?
見える世界が様変わり。
ケイジの能力発動時にしか見つけられないものがあってそれを探す脱出ゲームみたい。電気のオンオフが謎解きに関係してくる系のやつ(伝われ)。
それはさておきですよ。
変色以外で画面に変化があったのをお気付きでしょうか?
そう……
ケイジさんの顔。
アンニュイからドSにジョブチェンジ。
これはもうファンというファンを殺しにかかっています。みなさん、保険には入っておきましょう。
私はなんとか致命傷で済んだぜ。
この相棒能力で何ができるのか、とナオをタッチしてみたところ……
心臓の鼓動が見て取れるように。
直視するあまりナオに不思議がられるサラたち。
うまくはぐらかしてその場をしのぐと、ナオもそれ以上は追及してくることなく、どこかへ行ってしまいました。
サラは、さきほどの感覚に戸惑います。
自分と同じ目をしてたよ、と小さく笑います。
ケイジいわく、あれは心の動揺を見逃さない敏腕デカの眼。
ナオが何かを隠している。
このタイミングでそれって身代カードを引いた以外に考えられないんですが……。
きっと何か別のことに違いない。うん、そうだ、きっとそう。
詳しいことまではケイジも掴めておらず、確かめたくとも今はそんな時間がありません。
深みのあるお言葉。
ケイジに諭され、サラは大人しく従うことにしました。
第二章後編Part3(Aルート)はここまで
第ニ章後編Part4(Aルート)はこちら↓