キミガシネ最終章前編Part32(Abルート)です。
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ヒトゴロシゲーム
繋ぎ止めていた存在
教室
さて、再び教室を後にしようとしたとき、どこからともなく「惜しかったなぁ……」という声が聞こえてきました。
今までのやりとりはすべて見られていたようですね。覗き見だなんて悪趣味な。
ミドリはずいぶんと愉快そうにしていました。
どうやらサラの「同意書のお願いでデスゲームを終わらせてもらう」という案が、見当違いも甚だしくておかしかったようです。
なにせ同意書自体が、デスゲームに参加させるために書かせる紙ですから。
そんなお願いをしたところで「聞き入れるワケない」と笑顔で突っぱねました。
【選択肢】
→なぜ私はここにいる?
(これ選択肢の意味あるのだろうか)
サラは率直にミドリに問いただします。
同意書にサインしてもいない自分がここにいる理由を。
その答えは至ってシンプルで、それでいて思いもよらないものでした。
な……!!! (るほど)
そうか、その手があったか!
デスゲーム参加者の中にサラの参加を願った者がいる、と。
それはもしかして復讐……?
いやでも、アリス、ギン、ソウの記憶を見る限り、みんな一様に騙されてサインしていますよね。デスゲームのデの字も耳にしていません。
となるとデスゲームで復讐するためにサインした線は考えにくいか……。その人だけ事前にデスゲームのことを知っているなんて公平性に欠けますし。
単純に「サラを殺したい」と願ったら、デスゲームという場を提供されたと考えるほうが自然ですかね。
それともまさか「サラとずっと一緒にいたい」みたいなことを願ったら巻き込んじゃった不可抗力とか。
……さすがにそれはストーリー的におもしろくなさそうなので、希望的観測込みで復讐系に1票を投じたい。
どちらにせよ、サラはジョー以外の参加者にまったく顔見知りがいないので、一方的に知られている形ではありますね。
暗殺者vsストーカー 恐怖の2択。
理由が分からない以上、誰が願ったのかの大体の予想もつきません。
一応、灯籠で本当の記憶を確認できたアリス、ギン、ソウの3人は確実に除外できます。
誰なんだろうな〜、気になる……!
本当はその話をもっと掘り下げて欲しいのですが、ミドリにとってはどうでもいいことでしかないようで。
あっさりと話題を変えられてしまいました。
ミドリが興味あるのは、サラの目覚め。
覚醒して、最高の千堂院紗良とやらになってもらいたかったようです。
初めから「調整」なんて反対だった、と1人ぼやきます。
この人は会話をしたいのか独り言を言いに来ただけなのかどっちなんだ……まるで話が見えんぜよ……。
文句を言ったらやっと会話をしてくれる気になりました。
勝率表というと……
この4枚組の紙のことでしょうか。
やはりあのパーセンテージは勝率を表していたんですね。意外とそのまんま。
【選択肢】
→なんの為に用意した!
→いくら賭けたんだ!
→データマニアなのか?
「データマニアなのか……! 気持ち悪い……!」
面白い冗談だね、と軽く流されました。悲しい。
ミドリいわく、このデスゲームは神聖でないといけないのだそう。
みんなに平等にチャンスを与え、生き残る方法を与える必要があります。
つまり、勝率は平等にしなければならないということ。
いわゆるハンデキャップです。
【選択肢】
→ゆるせない
→それはおかしい
それが勝率の調整。
勝率を平等にすると1人あたり6.25%になるので、その差の分だけ各人にハンデが与えられるということでしょうか。
しかしそうなると勝率トップのサラにジョーという助っ人がいたのはおかしいのでは?
という疑問が浮かびますが、そこはまったく矛盾などしていませんでした。
なぜならサラは、味方がいたほうが弱いから。
ミドリもそんなサラを不思議そうに思いながら、過去の出来事を思い浮かべます。
やはりシュタゲ(STEINS;GATE)っていたのか!
でもこれまでの流れからすると、完全にシュタゲっていたというよりは、AIで仮想シュタゲっていたという感じですかね。
今のサラがいるこの現実も、その世界線の1つに過ぎないのかもしれません。
それはさておいて。
ジョーのいない世界線のサラがどれほどヤバかったかというと……
これは……!
二章後編の開始時にソウが見た夢ですね。正確には、別の世界線で起きた事実とでも言いましょうか。
誰よりも高い生存本能、何をしても折れない心。
知略、計略、謀略……サラは生き残るための方法をなんでも使いました。
そんな中で、なにより恐ろしかったのが、
他人の死を利用したこと。
殺しておいて涙を流し、みんなの心を打ったのです。
こちらは2回目のメインゲームが始まる直前に見たものですね。
まさかソウの夢と繋がっていたとは……。自作自演こわい。
勝率0.0%のソウが最大限のハンデとして「別の世界線での記憶ありでスタート」を得ていたのなら、これまで散々サラを敵視してきたのも頷けます。
殺されたうえに殺した本人の好感度上げに利用されたんですもんね。それはもう憎くてたまらないでしょうよ……。
サラはまさに絶大的なカリスマでした。自己犠牲などという考えは微塵もなかったにも関わらず。
人工知能でテストを重ねるたびに、ミドリはそんなサラにどんどん魅了されていきました。
今でもその思いは変わらず、叶うことならあのままのサラに会いたいという願望すら持っています。
会いたすぎておかしくなってらっしゃる……。
そんな異常な一面を見せるミドリですが、組織の方針には従わなければならないので勝手はできません。
だからこそ、サラが自ら目覚めるのを期待しているのでしょうね。
サラは、AIジョー? の仕打ちに強いショックを受けて以降、ジョーのことは忘れてしまっています。
しかし親友がいた事実までは忘れていません。それだけに強く憤ります。
親友の死の元凶が、ただ自分の足枷になるためだけだったことに。
──許さない……!!
すべての怒りをぶつけんばかりに掴みかかろうとしたサラですが、形勢は容易く逆転してしまいました。
それでもサラは負けじと心中に鬱積した怒りを吐き出し抗います。
勝率表に名前の無い無関係な人たちも、くだらない理由でおもちゃにされたこと。
普通に生きて普通に生活する、みんなのそんな当たり前を奪われたこと。
すべての恨みを乗せて。
言い分を聞くだけ聞いたミドリは深いため息をつきます。
落胆したのでしょう。
そんな訴えをするサラに。
優しくなってしまったサラに。
ミドリの4段活用。
すかさずランマルが助けに入ってきてくれました。救世主ー!
しかしどうやら単に助けてくれたわけではなく、本気でミドリを殺しにかかっていたそうです。
今のランマルならやりかねない。
その本気さは当然ミドリ本人にも伝わっています。
ここ、少し気になったんですけど言い回しが他人事すぎません?
ミドリを殺すとランマルも死ぬのなら「キミも死んじゃうんだよ?」ですよね。
あの言い方だと死ぬのはランマルだけと聞こえるので少し引っかかりました。
ミドリなら何かしらズルしてもおかしくないですし……。
挑発に怯むどころか、俄然やる気になってしまったランマル。
サラをイジメたのが相当、頭にきているようですね。
もはやサラの敵は軒並み殺して回るんじゃないかというくらい今のランマルは怖い。
しかしミドリにとってそんな殺意などなんのその。至って平然としたままランマルにある役を任命します。
サラの足枷役を。
味方がいると弱いサラ。
ミドリが見たいのは強いサラ。
そのため味方であるランマルを消しにかかったというわけですね。
思いきり私情で動いている気がするんですが、それでいいんですか組織さん!
そんな不満はありつつも……
急きょ鬼ごっこファイナルは始まってしまいました(むしろまだ鬼ごっこって続いていたのか……)。
今回は、はっきりと「タッチしなきゃ死んじゃう」と言っていますね。
言うなれば1回目のは練習で、2回目のこれが本番というところでしょうか。
まだ4F組との合流も果たせていないというのに、こんな状況で始めるのはずるくない?
鬼を押し付けられたランマルは当然ながら気が気でなく、逃げたミドリの後を一刻も早く追おうと動き出します。
しかし当のサラは考えにふけており、その呼びかけに気付きもしません。
──私をつなぎ止めていたのが……その親友なら……。思い出せなければ……私は……。
サラにとっては漠然とした親友の存在。
しかしその親友こそがサラをサラたらしめる存在であるのなら、このままずっと思い出せなければ、いずれ裏サラに呑まれてしまうでしょう。
そんな不安がサラの胸中を占めます。
ジョーはサラのリミッターだったんですね。
辛いとしても、やっぱり思い出してあげて欲しいものです。サラ自身はもちろん、ジョーのためにも。
思考から戻ってきたサラが教室を見渡すと、そこにはもう誰の姿も見当たりませんでした。
慌ててランマルの後を追いかけます。
最終章前編Part32(Abルート)はここまで
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