
無茶しやがって。
朱に染まる大地 前半

ブルース、被検体にされていた……。
第二の心臓を移植されていたり、人工皮膚だったり……ブルースが意識を取り戻したときには既に全身がめちゃくちゃにされていました。
そのうえで耐性テストとして第二の心臓に電流を流して破壊を試されたり、その二次被害による炎で人工皮膚が焼かれたり、その影響で体温が異常値だとか……もう無茶苦茶。
ブルースの心の叫びを見ると胸が張り裂けそう……。
この非人道的な実験をしているこの2人。右の杖を持って偉そうな方は先生と呼ばれ、左はその部下でした。
部下は、苦しそうだからと麻酔を打とうとしたり、体力も限界だからと休ませようとしたり、比較的良心が残っていそうな言動をします。
それに反して右。先生と呼びたくないので上司と呼びます。
この上司がクズオブクズ。
麻酔なんかいらんと突っぱねたり、悪魔どもに情けは不要と吐き捨てたり、部下のやんわりとした制止も聞く耳持たずでとにかく実験の強行しか頭にない畜生。人の心とか無い。お前が被検体になれば良かったのに。
渋々だろうが結局言われるがまま指示に従っている部下も同罪ですけれどね。

名前すら忘れた?
ヴィータたちの前に現れたとき、自分のフルネームを言っていましたけれども?
ど忘れしやすくなっただけという意味でしょうか。

ブルースを操作できるようになりました。
普段は檻に入れられていますが、今回は実験場に行って何かやらされるようです。
抑制剤が効いている限り命令に背くこともできないので、こんなドフリー状態で解放されても錬金院の奴らを攻撃することはできません。
今できることは黙って実験場に出向くことのみ。悲しい。

実験場に来ました。
戦闘データの計測なのか用意された敵の殲滅をしろとのこと。
このとき飛び交う野次に「冷たい声」と「幼い声」の2つあるのですが、声の感じからしておそらくさきほど実験していた上司と部下の声です。
冷たい声(上司)はもとよりクズだったのでそのままですが、意表を突かれたのが幼い声(部下)。
すごく理性的な印象だったのに、「あははは」と笑うクズキャラに豹変。何かに憑依されたかのように被検体を見下し、殺し合いの実験をまるでゲーム感覚で楽しんでいました。
二重人格を疑うレベル。ライター変わった?
テストは問題なく終え、再び収容所へ戻されます。

お隣さんがいた。
というかこのピンク、下水道で犯人を助けたあのピンクなのでは?!
名前はNo.36。ブルースがNo.47なので先輩ですね。思ったより軽快で柔和な兄ちゃんという感じです。
こんな目に遭ってもいまだに自分たちを「人」だと思い、「大事なのは心だ」と説きます。心まで捨てたときこそ本物の化け物になってしまう、と。
一方、

心を閉ざして完全にやさぐれたブルース。
普通はこうなる。
思いっきり対照的な2人です。
一見すると相容れ無さそうな2人(主にブルース)ですが、

どんなやさぐれもすべて包み込んだうえで優しい言葉を投げかけるNo.36のメンタルが強すぎた。
ブルースの負けです。諦めましょう。
どのみち日々のやることといったら実験場と収容所の行き来だけ。
必然的に話す機会も増え、その相手がNo.36のような人物とあれば凍った心も少しずつは溶けていくもので。

気付けば夢を話せる間柄に。
テープで声を聞くだけの生活にうんざりし憧れの俳優になりたくとも、角のあるカロン族は観客の前に立つことは許されない。
そんな悩めるカロン族にとって喉から手が出るほど欲しいのが、桂冠カロン族の地位。
ソラの民と同等の市民権と権利が保障されれば、裕福な暮らしを手に入れ広い舞台に立つことも可能です。
そのために第六軍団の試験に参加したというのに……。

2人はオペ友!
でもNo.36が雪国の幼子のアリアを口ずさんでいたときブルースは、「酷い歌声」「ここまで居心地の悪い歌になるなんて驚いた」「音痴な歌」とオーバーキルしていました。
やさぐれMAXの頃なので単なる嫌味な可能性もありますが、本人が「楽器さえあれば少しはマシになる」と返しているあたりあながち外れてもいない?
だとすると舞台に立つならまずはそこのスキルをだな……。
No.36の誘いに同意も反対もしないブルース。
やさぐれMAXの頃なら絶対反対していたでしょうから進歩が見られます。
No.36も「無言=同意」と解釈して約束を取り付けました。強い。
意外と良い組み合わせかもしれないこの2人。
そんな2人に追い風もありました。

身体が「抗え」と言ってくれているのか、都合よく変異しただけなのか。
どちらにしろ2人にとっては好都合。
錬金術師たちにも気付かれていないので、タイミングさえあればいつでも脱走できそうです。
そして何度目かの実験へ。
毎回用意される敵は多種多様で、巨大だろうが数が多かろうが穢獣ならまだマシなほう。
中にはなんと人間もありました。それは捕虜となったエリュシオン礼賛会の兵士たち。
前にトリュフから聞いた話ではエリュシオン礼賛会と帝国は絶賛戦争中とのことだったので、つまりその投降した敵国の兵士たちを実験材料にしたわけですね。
錬金院の人たち、サイコパスしかいなさそう。
ダフネが錬金院を嫌がるのも納得です。
そんなわけで何が出てきてもおかしくはない実験で今回は、

同士討ち!
戦力として見るなら、最高の1体を作り上げるために戦わせて1人失うよりもそのまま2人で活用したほうが間違いなく強いです。
が、そこは研究者のプライドが発動でもしているのでしょう。
研究者というものは往々にして最高傑作を作りたがる傾向にありますからね。
ともかく戦うことになった2人。
どちらが生き、どちらが死ぬか。
生死を賭けた激しいバトルが勃発!

……すると見せかけて、電流バリバリの鉄格子を力業でこじあけるNo.36。
脱出じゃあああ!!!
早速やってきた有象無象の追手どもはサックリ薙ぎ倒して出口まっしぐら。
錬金院の構造など知りもしないでしょうから勘で突き進んでいると思われますが、

無事に下水道まで逃げてこられました。
外もすぐそこです。
が、電流バリバリ鉄格子で負ったダメージの影響かNo.36が苦しそうに座り込みました。
2人はひとまず隠れられる場所を探すことに。
それで行き着いたのが、あの劇場っぽく装飾された潜伏場所だったのでしょうね。
ここで現実に戻ります。

No.36ー!!! 電流鉄格子で無茶するから……。
残念ながら、逃亡を果たしたブルースたちに待ち受けていたのは「始まり」ではなく「終わり」でした。
逃亡中に錬金術師の新型抑制剤をくらい、ブルースは喉を潰されてしまったそう。
そういえば過去話のブルースはキレイな声でした。犯人として現われて以降に潰れていたのはそれが理由だったんですね。
さらには心も蝕まれていっているそうで、それがカロン狩りの凶行へと繋がっていました。
潜伏場所が下水道にあり、そのすぐそばにカロン族のスラム街があったため、必然的にカロン族の被害者ばかりが出たわけです。
となると内城区のお偉いさん(ソラ族)がやられた件については珍しく遠出をしていることに。
あれはソラ族への暴言落書きもありますし、ちょっと手口が違うような異質さを感じますが関係ないのでしょうか。

ブルースの切実な願い。
第六軍団は錬金院とガッツリ手を組んで激ヤバ実験をしているし、第十三軍団もリーンの態度から察するに隠蔽しようとしている。
もはや帝国軍そのものから身を引いてもらいたくもなります。
ましてやリズムは警備部隊とはいえ渦中の第六軍団に在籍しているわけで、ブルースほどの適合性は無いにしてもいつどんな形で利用されるか分かったものではありません。
ブルースとしては静かな場所でしっかり生きていって欲しいようです。
ここで「一緒に」という言葉が出ないあたりに覚悟が見えて非常に悲しい。
ではブルースはどうするのか。
その答えを知るには再び回想に戻ります。
5日前――下水道の出口

おそらくヴィータが襲われた後の様子でしょうか。
No.36が眠りについている間にブルースは暴走して犯行に及んでしまったようです。
それを止められなかったNo.36は「もっとはやく目を覚ましていれば……」と自分を責めました。
あの犯行後にこんな悲しいやりとりがあったなんて……。
そんな沈み切った2人の前に、

現れたのはフォーセイクン同盟。
神のように急に宙に湧いて浮いたまま会話しているのですが、どう解釈したらいいのか分からない。
それよりも気になるのはNo.36の毒発言。
下水道でヴィータたちを迎えに来るはずだった兵士たちは毒殺されていましたよね。あれの犯人ってフォーセイクン同盟だった?
今回2人を勧誘しにやって来たとのことなので、その2人を助ける(逃げ道を確保させる)ために殺したのかもしれません。

とにかく帝国に対する恨み演説がすごい。
帝国を良く思っていないカロン族は多いとはいえ、恨みのレベルがあまりにも違いました。
そこを不思議に思っているところに、この発言。
もしかしてフォーセイクン同盟って被検体の集まり?
他の発言からも、
「言葉一つで私たちを騙し」
→桂冠カロン族の肩書で誘き寄せられた
「私たちは帝国に過去を奪われ」
→人として生きることができなくなった
合間合間に混じる実体験っぽい発言によって信憑性が増します。
ただそうなると、錬金院の被検体を逃がしすぎ問題が出てきますが……。
もとより勝手に悪魔だと忌避され、実験によって肉体が悪魔(みたいなもの)になり、絶望して心までもが悪魔となった結果、帝国のお望みどおりに本当の悪魔と化した。
だから特殊な能力とかがあって穢獣を操作できるのかも?
前にランディーが言っていましたもんね。

被検体で得た能力と考えると納得できます。
唯一気になるとしたらフォルムが人間っぽいところでしょうか。
光で曖昧とはいえ、ブルースたちみたいに化け物ではなく結構人の形を保っているように見えます。

これだけ殺意を持たれるのも当然です。
そういうわけで、帝国には復讐を、カロン族には加護を。
1度で2度おいしい一挙両得案件ですが、いかがですか? というお話でした。
ブルースたちの返答は無いまま回想は一旦終わります。
ところでこの話している人(リーダー?)、「落ち込む声」とあるのですが別に全然落ち込んではいません。
なんなら感情的になって熱が入っているときもあるほど。「落ち着いた声」と間違えていそう。

フォーセイクン同盟関連の回想はブルースが思い返しただけなのでリズムたちには伝えられていません。
やるべきこととはおそらくはそれに関することでしょう。
心配するリズムに「ついて来るな」と釘を刺すと、ブルースはひとりこの場から立ち去っていくのでした。
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