【はたらく細胞】人間パートで深みを増した実写映画【感想・レビュー】

タイトルだけは知っていたものの、なんとなく触れないまま今に至っていた作品。

たまたまWOWOWオンデマンドでアニメを見つけて観てみたところ、見事にハマりました。

なんて知識が身に付く作品なのかと……!

体内で起きる事象を調べようものなら、まず専門用語と長い説明が文字でびっしり書かれていることが多いので読む気が起きないなんてことはよくあることで。

たまに分かりやすくしたイラスト付きもありますが、動きのない1枚絵だけだとあまり印象に残らない。おそらくそれは「覚えようとする必要がある」からなのですよね。

この作品は擬人化した細胞たちの日常を覗き見るようにストーリーを追えるので、覚えようとしなくても頭に入ってくる。

参考書を開いて歴史を学ぶのではなく、大河ドラマを楽しみながら自然と歴史を理解していく形と同じ。

こっちのほうが断然分かりやすくかつ楽しめて知識を得られる!

ケガをしたら絆創膏、病気になったら薬。

当たり前にしていることが細胞にとってどういう影響を与えているのか、どうやって治してくれているのか。

分かれば分かるほど自分を粗末に扱うのは細胞に申し訳ないと思い知らされます。

もはや自分とは違う別の存在な感覚ですね。細胞という動物を飼っているみたいな、守ってあげなきゃという使命感……!

アニメでそれくらい一気にハマったので、実写版が上映中だと知って「見るに決まっている!」と即決。

原作リスペクトがヒシヒシと伝わってくる宣伝ポスターも背中を後押しした要素のひとつです。おかげで実写版への抵抗が少なくすみました。

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本編の感想

ついつい実写ならではの視点で見てしまうのですが、いくらかかったのだろう制作費……と気になるくらいには壮大なスケールでした。

ただ壮大すぎて思いきり、

\空・山・城・草原/

テーマパークみたいな全体図(引きの画)が、バーン! と映し出される映像は体内の表現としてはイマイチに感じました。

アニメでも自然や人工物はバリバリに出てきはしますが、あくまで細胞視点だからこそ比喩表現の可視化としてすんなり受け入れられる部分です。

それを全体図(神視点)で俯瞰することで、「どこからどの部分を見ているんだ?」という余計な疑問と「体内にテーマパークがある」という変な見方が出てきてしまいました。言ってみればいらない情報。

さらに言えば、まるで細胞たちがこのテーマパークでしか働いていないかのようにも見える演出です。あるいは、このテーマパークに脳から肛門・手先足先に至るすべてが収まっているのか。

どちらにせよ、あれで一気に舞台の固定化=世界観が縮小した印象を受けてしまいました。せっかく広大な体内を駆けずり回る細胞たちのテーマと相反する形です。

そこだけ少しモヤモヤ。


逆に言えば、その点以外は満足度が高かったです!

映画では、本来は無い人間パートが盛り込まれているのですが、これが良いアクセントになっています。

人間が不摂生をする
 →細胞が困る
  →人間に症状が出る

まさに心身一如の関係。

体内との相互関係がより分かりやすく描かれていて、いきなり映画から入る人でも見やすい作りになっているように感じました。

「細胞がこうなっているときに人間にどれほどの症状が出ているか」のニュアンスを人間パートで表現できるのは映画ならではの強みです。

なおのこと身近に感じやすく、自然と自戒の念も強くなります。

細胞、大切にしなきゃ。


あとは、思った以上にアクションをガッツリ取り込んでいて意外でした。

確かに雑菌とのバトルは日常茶飯事ですが、この作品にアクションはまったく求めていないというか重視していなかったので「そこに目をつけるんだ」と。

そのアクションもワイヤーアクションという力の入れっぷり。

すごい……すごいけれど……違和感は拭えなかった……。

壁走りなどの若干ごまかしの効くアクションだと見栄えはしますが、完全に宙に浮くようなシーンでの吊っている感は何とも言えない気持ちに。

ここは賛否別れるところかもしれません。

原作のテーマ自体がそもそもおもしろいので、私は映画もとても楽しめました!

キャラデザインもしっかり原作準拠にしてくれていて高ポイント。

そしてやっぱりなにより特徴的なのは、人間パートという映画ならではの要素。

・映画から入る人には分かりやすく
・原作勢には新しい見方ができる

独自のオリジナル要素は苦手な私でも、今作のものは原作テーマに深みを出す良い方向に表れていると感じられました。

不摂生をしている人にこそ見てもらいたい作品です。

……最近うんちの映画ばかり見ているような気が。

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