キミガシネ第一章後編Part8です。
第一章後編Part7はこちら↓
メインゲーム
決選投票
不変的だったカイの表情が初めて崩れました。
それほどまでに追い詰められたということであり、重苦しい表情を浮かべたまますべてを白状しだします。
絵柄の話になった時には既に危機感を抱いていたカイ。すっとぼけようかと考えていたようですが、もはや妥当性から投票の筆頭が自分になるのは明らか……と為す術を失っていました。
「死にたくありま……せん……」と痛切な思いを吐露します。
そのカイが、身代はジョーだろうと言及します。
賢者に成り代わるような行動が見受けられたためで、それは確信の域に達していました。
だからこそソウに投票するよう哀願するカイ。
サラ=鍵番
カイ=賢者
ここまでが確定しており、ジョーが身代である可能性が高いのなら、犠牲者に選ぶのはカイ(賢者)に限らずカンナ(平民)でもソウ(平民)でもいいわけです。
そんななか、とりわけソウを名指ししたのには理由がありました。
言わずと知れたソウの危険性です。
ソウは残しておくべきではないと主張します。
確かにそれについて否定する人はおそらくいないでしょう。
しかし指定されたソウ本人はというと、それを笑い飛ばすほどの余裕を見せます。
「脱出に有用な情報は私の手の中に……!!」
え、接触あったの?! さらっと自白されて驚きました。メールは多少なりとも捏造されていると思っていたので。
そういえば決選投票が始まってすぐの聞き出しで、サラが「誘拐犯側であることを否定しますか?」と尋ねたとき「どうでしょう」と、とぼけてましたっけ。
あれは実際に肯定も否定もできなかったからなんですね。カイさん変なところで真面目なんだから……。
ウソをつけばいい話でもありますが、メールの内容的にカイは千堂院家の腹心のような感じがするので、サラにウソがつけない(つくわけにはいかない)とかあったのかもしれません。
ともかく、
誘拐犯側との接触+脱出に有用な情報
これらすべて……いや、仮に片方だけだったとしても話してくれると言うのなら、絶対に生かしたほうがプラスになります。
となれば、犠牲者として選ぶべきはソウしかいない!
カイからは情報を得られ、おまけにトラブルメーカーが消える2重メリット。
1番無難な選択です。
……ジョーを除いては。
ホエミーによって議論は遮られ、遂にその時はやってきました。
悲痛なカイの叫びを残して。
ここでの1票が運命を大きく揺るがします。
選択の幅は実質2人。
安牌のカイか。
それとも
危険なソウか。
私は……
ジョーに入れた。
結果は、ダントツでカイに。
ホエミーにより役職の答え合わせがされます。
賢者 …… カイ
鍵番 …… サラ
身代 …… ジョー
いまさら驚きも何もないとはいえ、確定してしまうことの辛さ……。
ジョーに入れた私が言うのもなんですけど、みんなもっと考えて欲しかった。
確かに命がかかっているとなると確実性を取りたくなる気持ちも分かりますが、目先の藁にすがったところで一時的なもの。
先を見据えなければ、みすみす生き残ることを困難にしてしまいます。
なぜカイの言葉が信じられなかったのか……。ウソをついて生き残ろうとしているように映ったんでしょうか。
少なくとも私は、誘拐犯側と接触があったことを認めてまで自身を生かすメリットを訴えていたカイの必死さにウソは感じられませんでした。
ウソならば、誘拐犯側と関わりがあるなんてデメリット要素は怖くて持ち出せないはずです。
そのカイが言い放ったソウは危険人物発言と、ソウへの投票誘導。
そこから読み取れるのは、予選投票でソウに入った2票のうち1票はおそらくカイのものだということ。
もともとソウの1票はギンのものと推測していましたが、これにより尚更ソウの2票は自分で入れたものでないと確信しました。
ここでソウの身代説は断たれます。
もちろん賢者や鍵番もあり得ません。となると、残る可能性は平民しかないことが炙り出されます。
そして今後のことを考えた場合、ソウとカイのどちらを残したほうがみんなのためになるか……一目瞭然ですよね。
絶対にソウに投票するべきだった。
……サラとジョー以外は。
2人に関しては、あまりにもみんなと立場が違いすぎて同じようには語れません。
ジョーはもちろんのこと、サラだってソウを選んでしまえばそれはすなわちジョーを見捨てることになります。
1人だけ、たくさんの知り合いの命と1人の親友の命を天秤にかけられていたのです。
とてもじゃないけど私にジョーを見捨てるなんてできなかった……。
後ほど予選投票と決選投票の投票先を考察して、決選投票でソウに入れた人物3人(うち1人はカイ確定)を割り出してみます。
あそこでソウに入れた優秀な2人を今後全面的に支持していく(あくまで予想の人物をですが)。
追記:考察しました↓
限りなく低い可能性だったんですけどね……。
どれほど低かろうと1mmでも可能性がある限り手を出さない。確証が無ければ手を出せない。
安牌に走ったということはそういうことでしょう。
いやでも初っ端から一貫して鍵番を自称する人が身代な訳が無いでしょうよ……。本当に納得いかない。
僅差ならまだしも、カイ:ソウ=6:3ですよ。カイの得票のうち2票がソウとカンナのものだとしても、残り4人の不安要素がいるってことですからね。これは危ない。
「でもみんなは理で選んだ……ひどいよね。『この投票は自分の意志じゃない!』そういうふうに、みんな自分をごまかしてるんだよ」
もし危険だからという理由でソウに投票し死んだとすれば、それは自分がソウを殺したことになる。
けれど賢者だからという理由ならば、そういうゲームの仕様のせいにできる。
きっとみんなも賢者に投票するだろう、これは仕方のないことだ、と。責任逃れをすることで少しでも自分の罪悪感を減らすために。
ソウって煩わしい行動ばかりするので憎らしいですが、ここぞという時に真っ当なことを言うところは嫌いじゃない。
地頭が良いから立ち回り次第ではグッと好感度が上がるはず、だったろうに……。
ソウの言葉に煽られて泣き崩れるナオ。
これは間違いなくカイに投票してますね。
ただナオの場合は、脅されたことやミシマの生首を持ち去られた疑いからカイに投票してしまうのもやむなしかな、と。情状酌量の余地あり。
( ;д;) ジョーォォォォォォォォ!!!
カイが選ばれたということは、身代であるジョーも……。
声を荒らげるでもなく騙していたことを謝るジョーに、Qタロウは自分たちが恨めしくないのかと問います。
苦悶の表情を浮かべるジョーから返ってきた答えは、「わかんねーよ……。だって……みんな悪いヤツには……見えねーんだもん……」と、恨みの欠片もありませんでした。
まじか……まじなのかジョー……! そう思えるジョーが1番の良い人だよ!!!
……つら。精神ダメージが既にキャパオーバーなんですけど……。
さすがのアリスとソウも、ジョーのこの言葉が少なからず刺さったのか苦渋の色を滲ませていました。
サラへと向き直り、再び騙していたことを謝るジョー。
(>;д;)> ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙
あれ、画面がぼやけてよく見えなくなってきた。液晶が壊れたのかな……。
最後に言いたいことがあるというジョーは、「男女だと……こういうこと言い辛いし……な」と口ごもりながらも、覚悟を決めたようにスッとサラを見据えると、
。・゚(゚´Д`゚)゚・。
本当待って……やめ
お前が○ね。
おっと、ナチュラルに物騒な言葉が出てきてしまいました。
でもこれは不可抗力ですよ。この流れは誘導尋問レベル。
こっちは大事な親友を失うというのに、あんな暴言を浴びせられてブチギレるなってのが到底無理な話です。
結果論ですけど、本当にホエミーなんて作らなければ良かったなぁ。
いっそのこと今から解体する? 11人いるなら総出で取り掛かれば造作もないぞ!
もし人間だったとしても、それが判明すること自体が今後に役立つ良いヒントとなり得ますし。
まぁ、根本的な解決にならないのが問題ですけどね……。
ホエミーが合図を送ると、どこからともなく管のようなものが出現し……
これは……地獄先生ぬ~べ~のアレを彷彿とさせる……!
「赤が好き? 白が好き? それとも青が好き?」の質問に、「白が好き」と答えると体中の血を抜かれて殺されるやつ……。
第24話の『「A」がきた!!』です。
ちょっとイレギュラーな恐怖回でしたが、今でもよく覚えているくらい印象強いお話。
よりにもよってなんでそんな残酷なやり方を……
管がジョーの身体に突き刺さる。
ジョーを助けてくれるなら代わりに死んでもいいとまで懇願するサラに、ホエミーはチャンスを与えると言ってボタンを渡してきます。
「とにかく連打するんです! 多ければ多いほど装置に影響し、止まるかもしれません!」
かもってなんだよ、かもって!
と、ツッコみたいところですが一刻を争う事態なだけに、サラは藁にもすがる思いでボタンを手にします。
クリックまたはタップ連打をすることで、下にある黄色いゲージの減少を阻止することができるようです。
今、助けるからな! ジョー!
連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打
うおおおおおおお
連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打
……あれ、これどうなったら終わり?
連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打
これはなかなか……腕が……しんど……
連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打
えちょ……なにこれ無理ゲー!!!
ゲージを満タンにしたところで何もなければ時間制限があるわけでもない。つまり終わりがない。
しかも途中からゲージの減少速度がヒートアップ。とてもじゃないけど連打なんか追いつかない! 追いつくわけがない!
ジョーの出血がどんどん溢れ……
ボタンをひとつ押すたび、心が壊れていく。
まるで、心を金づちで砕いていくように。
壊れた機械のようにボタンを押し続けるサラを制止したのはケイジでした。
ホエミーは泣き崩れるサラに向かって「惜しかったですね」と嘲笑います。
初めから助ける気のないボタンを渡しておきながら。
あまりに残酷なその仕打ちを嘆くサラに、「泣くことはないのですよ?」と返すホエミー。
サラが頑張ったおかげでジョーは少しでも長生きできたのだ、と。
心の整理など微塵もできないまま、ホエミーはさらに追い打ちをかけます。
そう、メインはあくまでカイ。
ジョーは前座に過ぎないのです。
ところが、
カイは隠し持っていた調理室の包丁で自らの両手首を切りつけていました。
メインを台無しにされ怒るホエミーはカイの自殺を阻止しようとするものの、それよりも早くQタロウが身体を押さえつけます。
力自慢をするだけあってその拘束力は相当なもので、ホエミーの身動きを一切封じてしまいました。
その隙に、カイは弱々しくもサラへと呼びかけます。
しかしジョーのことで失意に陥るサラの耳には届きません。
いつも丁寧な口調だったカイが珍しく語気を荒らげます。
この行動は抵抗なのだとサラにしっかり理解してもらうために。
誰一人救えず、敵の思うがままに命を弄ばれ死んでいく私達の、か細い抵抗の一撃。けれど大きな反撃の一歩、であると。
サラの行動は決して無駄ではないのだとカイは告げます。
「私達の悔しさを……!! 希望を……!!」
「私は……満足です」そう言い残して、カイはその場に崩れ落ちてしまいました。
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──「田綱くんって、今日が誕生日だっけ?」
「へ? よく覚えてんなー、千堂院。つーか、ジョーでいいって言ってんじゃん」
「じゃあそっちもサラって呼んでよ。これあげる、ジョー」
「うわっ! なんだこのかわいいの!! 犬の……キーホルダーか?」
「リョーコって友達とゲームセンターで取ったんだ。あげるね」
「じゃあ卒業するまでここに付けとくわー!」
「そんなに? ……没収されないようにね」
「ありがとな! サラ!」
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第一章後編Part8はここまで
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