キミガシネ第二章後編Part9(Aルート)です。
第二章後編Part8(Aルート)はこちら↓
交換フェイズ
カイの真実
ロビー
シンプルで良いデスクトップですね、カイさん。
果たしてこの中に脱出に使える手がかりはあるでしょうか。探っていきます。
左側を上から順に、
・ゴミ箱
・『紗良』と名前の付いたフォルダ
パスワードでロックされています。
・『指令8』と名前の付いたファイル
・『指令59』と名前の付いたファイル
右側を上から順に、
・『サラさんの好み』と名前の付いたファイル
・『エッチなファイル』と名前の付いたファイル
・『サラさんへ』と名前の付いたファイル
ファイルはそれぞれ読めるようなので、ひとつずつ見ていきます。
『指令8』と名前の付いたファイル
「カイ、いつも千堂院家の見張り、ご苦労。
千堂院家では最近、お手伝いさんを募集してるそうだな。いいタイミングだ。カイ、お前が自ら雇われて潜り込め。
必要な資料は組織で用意した。このファイルにまとめておく」
結構古いですが、写真だけはカイ本人です。
若かりしカイさん、目つきが非常に悪いw
サラは小さい頃からお手伝いさんの存在は知っていましたが、学校に行っている間だけだったため姿を見たことはありませんでした。
まさかそのお手伝いさんがカイで、家にいたかもしれないという事実にサラは衝撃を受けます。
『指令59』と名前の付いたファイル
「カイ、いよいよデスゲーム計画が現実味を帯びてきた。ついに組織の為に、お前が役立つ時が来たのだ。
千堂院紗良を決行日まで護衛し、健康な状態で確保しろ。そして関係の深い田綱丈と広瀬良子についても可能な限り目を光らせておけ。
人員は増やさない。いいか、大役を果たすんだぞ、カイ」
ファイルには、ジョーとリョーコについての身辺調査書と写真が載っていました。
もしかすると、リョーコも巻き込まれる予定だったのかもしれません。
『サラさんの好み』と名前の付いたファイル
そうなのカイ!
そのコメントに加え、貝のイラストを用意するというカイさん渾身の茶目っ気が果てしない。
★サラさんの大好きな物(甘い物部門)★
いちごジャム(ジャム全般)
栗きんとん
こしあんトースト
サラいわく、当たっているようです。
「……ペーストばっかりだな」と、さり気なくツッコむQタロウ。
確かに、ねっとりしてるw
思い返してみると、食卓にいつもペースト的な物が並んでいたことに今になってサラは気付きました。
「ごはんですよ!」常備かな?
★一口メモ★
サラさんは偏食なく、よく食べる。特に甘い物が好き。また一歩、サラさんを理解できて嬉しい。
……などなど。
以降もずらずらと書かれています。
「カイのヤツ……サラのストーカーだったぜよ……?」
Qタロウの中で、あの疑惑が浮上してしまう事態に……!
内容が内容だけに、カイのことを知らないとそう疑ってしまうのも無理ないとはいえ、カイさんちょっとかわいそうw
最初はサラにすら疑われていたので、今更な気もしますけどねw
『エッチなファイル』と名前の付いたファイル
おっと、あからさまにアレなタイトルのファイルです。
サラがそのファイルを開こうとすると……
「お、おい! やめとけって! そんなもん!!」
Qタロウから必死に食い止められます。
タイトルからしてサラも気は乗りませんが、万が一を考えると調べないわけにもいかず……。
そんな2人の間にナチュラルに割り込んできたケイジは、それが画像ファイルでないことを指摘しました。
サラはおそるおそるファイルを開きます。
中には、まったく理解できない記号や文字列だけの文章が延々と書かれていました。
サラたちには解読できません。
誰かー! プログラマー呼んでー!
『サラさんへ』と名前の付いたファイル
「こんにちは、サラさん。私はカイです。こんな事件に巻き込んでしまって……本当に申し訳ないです。
サラさん、もしアナタがコレを読んでいるのなら、お伝えしたいことがあります。私……佐藤戒は、とある悪の組織に所属するエージェントでした。
しかし幼き日に下された暗殺指令を、私は遂行できなかった。人を殺めることができなかったのです。
父には失望され……組織での立場は弱いものでした。
そんなある日、とある仕事を任命されました。それが、あなたを影から護衛・保護する任務です。
といっても、初めは重要視されている仕事ではありませんでした。デスゲームの開催、これが現実味を帯びて来るまでは。
デスゲームの目的は私にもわかりません。ただ、これは私の印象なのですが、サラさん、アナタを中心にすべてが動いている可能性があります。
もちろん私は、サラさんがただの被害者であることを信じております。
ただ、組織はアナタを必要としている。そして、彼らは手段を選ばない。
突如としてQタロウが声を張り上げました。
Ω ΩΩ< ナ、ナナナナナンダッテー!!
誘拐犯組織は、表の顔として孤児院を運営し、そこに来る子供を利用して何か企んでいるということでしょうか。
荒ぶるQタロウをケイジが制し、ひとまずはファイルの続きに着目します。
「このデスゲームは娯楽や復讐によるものでは、ありません。組織にとって避けては通れない使命のようです。……父はそう信じていました。
父は、組織に狂わされました。もしかしたら、対峙する時が来るかもしれない。その時は、父を、ガシューを、倒してください。
『紗良』フォルダに調査した資料をまとめました。もし私が既に死んでいるなら、あなたがお使いください。
パスワードはあなたの母親の名前。何かの力になれれば……と思います。
どうか、騙し合い、殺し合いの渦に呑み込まれないで。あなただけでも生き残ってください」
文書はここで終わっています。
Qタロウの言う「疑い」とは、1回目のメインゲームでソウが指摘した、サラ、カイ、ジョーは手を組んだ黒幕説のこと。
カイのパソコンを見る限り、これで払拭されたはずです。
ソウは認めるというより、あれは売り言葉に買い言葉だったと返してきました。あのときは冷静ではなかった、と。
仲直り仲直りしつこすぎない?w
その執念深い感じが陰キャみたい。……って、陰キャだった。
さて、カイの書き遺した文書によりいろいろと衝撃的なことが判明したわけですが、なんといっても注目すべきは組織の名前。
『ASU-NARO(アスナロ)』
ようやく明らかになりました。
アスナロというと植物の名前ですね。
ヒノキ科アスナロ属の常緑針葉樹。
ヒノキに似ているがゆえに、
「明日はヒノキになろう」
↓
「明日はなろう」
↓
「あすなろ」
が、名称の由来だという俗説があります。
それにより、文学作品では「ヒノキになりたくても決してなれない哀れな木」として扱われることも。
一方で、「明日はヒノキになろうと前向きに生きる木」というポジティブな考え方もあり、解釈の仕方は人それぞれです。
これがまさにサラたちのことを指しているかのように見えます。
ヒノキ=人間
アスナロ=人形
「人間になりたくても決してなれない哀れな人形」として終わるか、それとも「明日は人間になろうと前向きに生きる人形」として終わるか。
それは当人次第……といったところでしょうか。
閑話休題、パソコンの画面に戻ります。
カイは文書の最後に、『紗良』フォルダに調査した資料をまとめた、と書き遺していました。
パスワードは、サラの母親の名前。
そういえばサラの母親は今頃どうしているんでしょうね。
最初で最後に見たサラママ。
ずいぶん若そうな見た目でしたが、義母だと考えればそれも納得がいきます。
本当に気絶していたのなら心配ですが、一番怖いのはフリだった場合。実は組織側の人間だったというパターン。
……さすがに無いかなw
さっさと『紗良』フォルダを解錠してしまいましょう。
といっても父親のときと同様にサラが勝手にパスワードを入力してくれるので、結局プレイヤー視点だと母親の名前は分からず。
両親ともに名前が明かされないのは、隠しているのかそれとも単に不要な描写だから省いているのか……真相は作者のみぞ知る。
『紗良』フォルダが開きました。
2つのファイルがあります。
左から、
・『個人的なお礼』と名前の付いたファイル
・『※重要※人物調査データ』と名前の付いたファイル
それぞれ読めるようなので、ひとつずつ見ていきます。
『個人的なお礼』と名前の付いたファイル
こんにちは、サラさんです。
「すみません、この文書はデスゲームとは全く関係無いです。
サラさん、あなたに佐藤戒としての個人的な感謝を伝えたいのです。
私は千堂院家に大変お世話になりました。お手伝いさんとして、あなたのお父さんの仕事や家事を手伝わせて頂きました。
もちろんそれは……あなたを監視するという組織の仕事のためでした。
最初、家族同様に接してくれるアナタのお父さんに、私は嫌悪を感じました。
組織のエージェントとして、幼いころから訓練されてきた私は、愛情と言うモノに触れたことがなかったのです。
怖かったのです。自分が変えられて行くようで。
しかし、いつしかアナタ方一家を守りたくなった。この目で、サラさんが成人を迎えるのを見守りたくなった。
初めて、生きる目的ができたのです。
千堂院家と出会えて本当に良かった。
ありがとうございます。サラさん。」
言葉が見つからない……。
『※重要※人物調査データ』と名前の付いたファイル
「どうも、カイです。
実は、昔のIDを使って、ごく一部ですが組織のデータにアクセスすることに成功しました。
その中でデスゲームの参加者に関するデータを発見したのです。
と言っても、ほとんどの参加者のデータは持ち出せないようプロテクトがかかっていたのですが、ある男だけ、プロテクトが外れていました。
どうやら彼のファイルは一度削除されたのですが、何らかの理由により、復元されたようなのです」
すごく猫背。
髪の雰囲気的に、ダンガンロンパV3の天海くんを思い出しました。
キャラといい声といい、V3の中では1、2を争うほど好きな天海くん。どうしてああなった……。
それはさておき。
誰だろう……? と、首を傾げるサラの横では、サラ以外の全員が驚き青ざめていました。
どうやらみんなこの人物を知っているようです。それも、あまり良くない印象として。
あのソウが珍しく顔を歪めるほどです(演技の可能性も否めませんが)。
周りのただならぬ反応からしても、画面の人物が相当ないわくつきであることがうかがえます。
逃げたくさい?
席を外したソウに構うことなく、サラたちは続けてカイの文章を読み進めます。
「彼の事は名前すらわかりません。しかし組織が人物ファイルを削除する理由は、ひとつ。
死亡です。
もし、彼がデスゲームより前に死亡したとして……わざわざ復元された……つまり、生き返った……ということでしょうか」
ぼんやりとした心当たりを吐露するQタロウ。
しかしはっきりとは思い出せず、もどかしさを感じているようです。
記憶操作でもされているんでしょうか?
皆一様に頭を悩ませる中、
「思い出した……!!」
と、アリスが一際大きな声を上げました。
画面に映る人物を見据え、アイツにソックリなんだ、と漏らします。
「オレが……オレが殺した男……!!」
Ω ΩΩ< ナ、ナナナナナンダッテー!!
デスゲーム前にアリスがソウ(スーツ)を殺してしまって、何らかの理由で組織が月見真の人形にソウ(スーツ)の人工知能を入れたのがソウ(陰キャ)とか?
うーん、頭がミックスベジタブル。
しかしながら、なんだかとてもワックワクのドッキドキな展開になってまいりました。
「それに……アイツはいったい……誰なんだ……!?」
本当に何者なんでしょうねぇ。今、ヒヨリソウを名乗っているあの人。
これまで内容に関する事は一言も発しないケイジは、ようやく口を開いたかと思うと、ただ文章に続きがあることを指摘しました。
「彼についてのナゾは、私には解明できませんでした。
そして奇妙な点がもうひとつ。
デスゲームの参加者は20人ほどいたハズなのですが、全員分の人物ファイルが無い、ということです。
これを私なりに推測すると……」
突如、カイの文章に割り込むように大きな警報音──もとい、通知音がロビーに響き渡りました。
第二章後編Part9(Aルート)はここまで
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